2023年合同祭ゼミ展

名古屋外国語大学 現代国際学部 現代英語学科

 開催まで1ヵ月という短い準備期間でしたが、学祭を終えた今、充実感と達成感に包まれて、ゼミ展のために仲間たちと一緒に働くことができて本当によかったと心から感じています。私たちは中南米エルサルバドルという九州の半分ほどの国にある「みつばち保育所」に通う子どもたちのための教育支援バザーと写真展を企画しました。エルサルバドルは1980年代に激しい内戦を経験した国です。私たちはこの国と子どもたちの背景を知るために、映画『イノセント・ボイス』(Luis Mandoki監督、2004年)という実話に基づく作品を鑑賞するところから始めました。この保育所は、エルサルバドルの首都サンサルバドル、マルゲリータ地区にあり、スペイン語で“Las Abejas”と言うそうです。
チャリティーバザーの部屋には子どもたちの写真をパネルで掲示し、そして先生方や職員の皆さま、また学内の友人たちが提供してくれたたくさんの洋服や雑貨、文具、陶器など、仲間たちと試行錯誤しながら見栄えよく並べました(綺麗な顔立ちをした大きな日本人形をわざわざ車で運んでくださった職員の方もいました)。特に今年は多くの手作り小物を協力いただいたので、部屋の中央に手作りコーナーを作り、それが大反響でした(ゼミ生のお母さまによるおしゃれなイヤリング、学部事務室の方が作ってくださった可愛い熊の形をした石鹸、卒業生のお母さまによる日本帯を使った本格的な髪飾りと素敵な手さげ鞄など、どれもとっても魅力的でした)。
もう一つの部屋では、ゼミの中で取り組んだ映画研究のポスター展示も行いました。みつばち保育所の子どもと関連づけて、「子どもと明るい未来」をテーマに、ゼミ生全員が子どもを扱った世界各国からの作品を担当し、各々が感じたことを限られた文字数でまとめて一枚のポスターで表現するというものです。私はイラン映画の『運動靴と赤い金魚』(Majid Majidi監督、1997年)を担当しました。
私の祖父や叔母も、遠く広島から品物を送ってくれました。祖父は以前、鎌倉彫をしていたのでその作品を送ってくれたのですが、今は認知症を患い、新しい作品を手掛けることができません。数少ない作品にはなりましたが、祖父が家の端にある部屋で静かに作り続けていた鎌倉彫が、こんなに遠い愛知の地、名古屋外国語大学まで届くなど想像もしていませんでした。当日、バザー会場で実際に作品を手に取って見てくださる方々の姿を見て、とても感動しました。
このゼミ展に協力してくださった皆様にとても感謝しています。来年もこの日が来るのを楽しみにしています。
 
執筆:船田怜奈美(吉見ゼミ)