先輩の声


graduates

学部時代の幅広い学びから
さらに深掘りして研究がしたいと思いました

 

仲宗根英美
(2020年度現代英語学科卒業)

名古屋外国語大学 現代国際学部 現代英語学科

 私は2020年に現代英語学科を卒業してから、他大学の修士課程に進学しました。NUFSでは、それまで触れることのなかった多文化や言語について学び、ゼミでは移民・難民などを中心に勉強をしたので、私自身の関心ごとでもあった日本の外国籍児童についてさらに深掘りして研究がしたいと強く思うようになりました。また大学生活の後半から、教育機関における翻訳・通訳の業務に携わる機会に恵まれました。そのなかで、私がそれまで経験してきた日本における異文化性という課題は、現在の外国籍児童も同じように直面しているのではないかと考えるようになったのです。その問いかけがきっかけとなり、大学院進学を決意しました。
学部時代は語学はもちろんのこと、文化人類学や比較文化学など幅広い人文社会の分野を学び、大学院では社会学を専攻し研究を始めました。大学院1年目はコロナ禍真っ只中だったこともあり、授業は全てオンライン。そのため研究はスムーズに進まず、悔し涙を何度も流しました。2年目になって対面授業が再開されると、ようやくインタビュー調査を実施することができました。2年生の後半は修士論文を何としても完成させるために、指導教官に訂正を加えていただきながら執筆する日々が続き、無事に修士論文を提出し卒業することができました。
大学院での研究を通して、ある大切なことを知ることができました。それは、日本で育つ日系人の子どもたちが日本社会に適応していくなかで、自分の外国のルーツに対して煩わしいと感じてしまうことがそれまでの人生のどこかであったということです。そして他者の眼差しによって、純日系人であっても(海外で生まれ育った両親の子ども)、日本生まれで日本育ちの日系人であっても、また日本国籍保持者であったとしても、自分のアイデンティティを「外国人」として自分のなかに取り込んでしまうという現実でした。
提出したこの修士論文ですが、学長賞というとても名誉な賞を与えていただきました。当事者視点が反映できた研究になったので、審査してくださった先生方にその思いが伝わったのではないかと思っています。
 私は現在、学部生の頃から続けてきた翻訳・通訳の仕事に携わりたいと考えています。今はまだ非正規という身ですが、いずれはプロの翻訳・通訳者として活躍できるように、これからも勉強、そして異文化経験を重ねていきたいです。NUFSで培った知識や思考力は、大学院や今の翻訳・通訳の仕事のなかでも活かされています。このような経験はこの社会を生きていく上でも、人との関わりを持っていく上でも、とても大切なものです。もちろん、これから夢を叶えるにあたっても必要です。学生時代の経験を糧に、ますます頑張っていきたいと思っています。

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